精神障害者への偏見と高齢者虐待
こんばんは
いつもお読みいただきありがとうございます
前回に引き続き私が勤務していた地域包括支援センターで関わった印象深い方々について書いていきたいと思います
(住民からの通報)
ある男性から電話があり「親戚のものだが、○○が息子に殴られ、家に逃げてきている」
さらに「息子はからが大きく、酒を飲むと何をするかわからない」と付け加える
男性に、殴られたとする女性について詳しく聞いてみると
・顔にあざのようなものがある
・昨日の夜家に来て、今はもういない
・逃げてくるのは今回だけではない、前にも2.3度あった
その女性は殴ったとされる息子とともに暮らす自宅に戻ったようだった
息子についても聞いてみる
・息子は40代
・妻、殴られた息子の母親との3人暮らし
・仕事には行っていないが、日中留守にしていることも多い
・何か話しているようだが言葉がよくわからない
・この辺では知らないものはいない
など
(情報収集)
各関係機関に問い合わせて聞き込みを開始、すると
・もう何年も前から関わっている
・春頃になると地域から連絡が入る、その都度見に行って母親や息子の妻から事情を聞き、息子にも注意している
・息子の妻も知的に障害を持ち、家のことや母親の世話をしている
・母親は耳が遠く、息子もうまく喋れないことからお互いの意思疎通が図れず、それに対して息子がいらつき、つい手が出てしまうようだ
今回あった通報内容を伝えて、地元の関係者と一緒に自宅を訪問することに
(母親と息子の妻に会う)
自宅に行くと息子はデイケアに行っているのか留守
在宅した母親と息子の妻に事情を聞いてみたところ、母親は相当耳が遠いようで聞き取りは難しく、主に息子の妻から話を聞くことになった
息子の妻の話はこうである
・夫は普段おとなしいがお酒が入ると人が変わる
・怒鳴り声を上げたり、この間は包丁を持って襲い掛かってきた
・近所の親戚の家に逃げ込んだときもある
母親の顔には確かにあざがあり、殴られてから日が経っているのか色は黄色へと変わっていた
高齢で寝たり起きたりの生活を送るが、何とか杖をついて歩くことが出来る
耳が遠く、会話はあまり成立しない
認知症もあるようである
(息子とは・・)
関係機関からの聞き取りで息子の人となりが見えてきた
・息子は居住するこの家で生まれ育つ
・息子に対する父親の躾は厳しく、体罰もあった
・息子は家出し、とある町で住み込みで住み込みで働いていた時期もあった
・統合失調症を発症したのも多感なこの時期である
・現在も関わりがあるこの○○病院で入院治療し、その後も入退院を繰り返す
特に春頃は気分も高まって病状にも変化が現れやすく、母親への暴力もこの時期に起こることが多いという
また、息子は地域では奇異な存在として見られている
・女の子を追い掛け回す
・無断で他人の家に入り込み、居座る
前述した「大きい体で、うまく喋れず何を言っているかわからない」というところも踏まえると、精神疾患をあまり知らない方々の認識として頷けるところである
(さて、親戚と名乗る通報者というと・・)
最初の通報から程なくして再度地域包括支援センターに連絡がある
内容はこうである
・あの家は昔ボヤを出したことがある
・おかしな息子夫婦と母親だけ、またいつボヤを出すかわからない
・周囲の者もみんな出て行って欲しいと思っている
・親戚というだけで迷惑をしている
この者の言い分を考察する、少し飛躍するところもあるけれど
・ボヤ騒ぎや地域が言う息子の異様な行動から
・地域では、息子を始めこの家族は、(意味は違うが)村八分的な存在となっている
・親戚だからと地域からいろいろな声が寄せられる(迷惑している)
こんなところでしょうか
一つの虐待案件から地域を巻き込んだ問題となっている可能性が
続きは、後編で
ありがとうございました