精神障害者への偏見と高齢者虐待 ⑵
こんばんわ
いつもお読みいただきありがとうございます
後編です
一つの高齢者虐待の案件だけではなく、地域の問題へと発展しそうな流れになってきました
(自治会長さんを交えての懇談に)
この親戚という者からの連絡を受け、
・地域は、息子や家族に対しどういう目、意識でいるのか
自治会長さんと会って尋ねてみました
すると、息子始めこの家族のことは知っていたものの、特段親戚さんが言う
・また、ボヤを出すかもしれない
・この家族は村八分的な存在で、地域はみんな出て行って欲しいと思っている
と言う話はいっさいなく、出て行って欲しいなどとも思っていない
とのことです
再度、関係者とも話し合ったところ、どうやらこの親戚さんだけがそう思っているだけ?
とわかってきました
というのも、今回地域包括支援センターに連絡がありましたが、これまでは地域の関係機関に連絡が入っており、いわゆる『「でまかせ」を言いふらす人』でした
この方もおそらく知的障害者であり「自分の思いを地域の声として大きくする」そういう存在であったようです
今回他、息子の母親に対する暴力は確かにあったようですし、妻にしたとする包丁で威嚇するなどの行為も事実と思われます
これとは他に、この親戚さんそして地域の方々にも精神障害に対する理解を深めていく必要があるのではと思いました
この家族がこれからも地域で暮らしていくために
(虐待は続く・・)
そうこうしている中でさらに事は進んでおり、母親が息子から逃げるために家を飛び出し、野宿していたというのです
住民が朝母親を発見し、その住民宅に保護したのです
息子の妻もその様子をはっきり見ていました
そして、先の通報者(親戚さん)宅に行き、救援を求めていたこともわかりました
こうした事実から息子と母親、そして妻それぞれの分離が必要と判断、対策を検討しました
息子の病状に異変が見られるのは事実であり、息子の治療が最優先との見解で関係者は一致、病院との交渉です
訪問看護師が定期的に関わっていることもあり、また同じ法人である病院が息子のかかりつけでもあったため、入院の運びとなりました
ただ、社会的入院という背景もあるため、「今回だけですよ」とのおまけ付きです
(今後の対応はいかに)
息子とその家族との分離は成立
息子が入院している間に、息子が退院した後の妻と母親の生活設計をどうしていくかの方向付けをしていく必要があります
母親は高齢で寝たり起きたりの生活、認知症も見られるため、ほぼ要介護状態と言えます
息子は、厳しかった父親から庇ってくれた母親を大事にしていたといいます
母親は加齢から介護を要するようになり、息子も何かと世話をやいていました
母親は耳が遠く、そして息子はきちんと意思を伝えることが出来ない
そうした祖語が暴力となったと推察します
息子が治療後退院してきたとしても大きく好転するとは考えにくく、また暴力が繰り返される可能性・大です
母親の介護施設への入所が望ましいと関係者間で一致、要介護認定の申請と母親をどう施設に結び付けていくかが課題となりました
母親は元来他人との関わりを好ましく思っていなかったので、至難の業かもわかりません
そして妻です
妻の父母に登場していただきました
嫁に出した親としては、娘に対する夫からの包丁で威嚇するなどの暴力、このまま放っておけるはずがありません
とうのはこちら側に見かたであり、実際はこうでした
「娘を実家に帰すのも一案」とするものの、どうも煮え切らないのです
背景には知的障害がある娘、ここにも虐待がありました
結果、娘の意志もあって、妻として夫の退院を待つことになりました
(顛末です・・)
母親はというと認知症対応の施設への入居が決まり、すんなりと母親の同意も
息子はというと、入院後いわゆる陽性症状は消え、陰性症状へと変化、そして退院の日を迎えました
デイケア、訪問看護などの医療サービスの拡充と関係機関の継続した関わりにより、再発を防止していく方向に⇒妻と過ごす時間を最小限とする
期間限定により様子を見ていくこととなりました
そして地域
今後時間を掛けて精神障害に対する理解を促していく方向で、自治会長さん、そしてあの親戚さんにも同意いただきました
長々とすいません
虐待そして偏見、とても奥深いものでした
お付き合いいただきありがとうございました